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July 01, 2010

◇「火の魚」で作家は最後に叫んだ。

Anzu_2
(注文しておいた千曲市から昨日届いた生杏)
▼火曜日の夜だったがBSフジで、スペイン北西部の都市サンチャアゴデ・コンポステラから、ポルトガルに列車で行く旅行を紹介していた。国境の町ビゴで今までの豪華な列車から、小海線のようなキハ、いやスペインではいくら何でもキハとは呼ばないだろう。2両編成の気動車に乗り換えて国境を越える。すると約2時間でポルトに到着する。何だかこの国境を越える列車は日に2本しかないのだそうだ。後は1月10日に見た風景だった。ドウロ川に架かる「ドン・カルロ一世橋」とワイナリー、対岸は世界遺産になっている街並みだった。こうして見ていると、日本で上野博物館周辺とか、富岡の製糸工場跡を世界遺産にといっている人は大きな勘違いをしているように思えてならない。とくに後者は日本を軍事大国にするための、資金を稼ぎ出すための製糸工場だったわけなのだから…。
▼わたしの仕事は午後4時頃から午後7時頃までが一番電話が多くなる。このところ7月に3本取材をしなければならないから、S編集長はその時間の調整などをしてくれている。そのうちの1本は○月○日朝5時に某地点まで来れないか、というものだった。わたしは宿舎を用意してくれれば行く事ができるが、朝一番の列車で行くからと答えた。すると電話を切った直後「僕の家に泊まれば良い」とお誘いの電話が、別の男性から掛かってきた。ご親切はありがたいが、彼の家は集合地点を越してさらにわたしの家くらい先に行かなければならない。それに男の家には泊まりたくない。いや冗談。早起きして猫ちゃんたちにエサをやり、5時半の列車にのれば現地に着くことができる。その男性には午前6時に某駅に迎えに来てくれる様にお願いした。
▼書く事は沢山あるのだが、まず「火の魚」だ。TVを見終わってすぐ図書館にリクエストを出した。この室生犀星の原作は20ページ足らずの短編である。TVドラマは1時間10分くらいで脚本が素晴らしい。というのは原作では作家が自分で飼っていた金魚が死んでその魚拓を取って、女性編集担当者である折見とち子に見せて、「これで次回の単行本の表紙にして欲しい」と頼む。編集者その作家が作った魚拓が余りにも下手なので首を傾げている。すると作家は折見に、「お父さんが魚拓が作るのがうまかったのだったら、自分で作ってくれ」とそれを依頼するという内容になっている。
▼TVは詳しく書いてしまうとつまらないので簡単に紹介する。最後の方で栃折がガンで入院している東京の総合病院を、大きな赤い薔薇の花束を持って見舞いに行く。作家は「折見悪かったな」という。「何がでございますか?」「すべてだ、俺という作家に関わらせてしまった事を後悔している。お前の病気にはストレスが一番悪いんだ」という。折見は自分は「それほどヤワな人間ではない」と言い、続けて「わたし今、モテている気分ですわ」という。作家は「あながち気のせいでもないぞ」と呟く。
▼そして見舞いが終わると「行け」と一言。いま住んでいる島に戻る船の中で「今生もしかなうなら、もう一度会おう」と船のエンジンの音にかき消されぬ様な大声を上げるのだった。

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