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August 18, 2010

◇「氷雪の門/樺太1945」を見る(3)

Sensha1
(映画でソ連戦車を模したアメリカ製M24チャッフィー軽戦車、映画のスチール写真)
T3584
(こちらは「戦争と人間」で第三部に登場したT35/84の本物。当時のソ連で撮影)
M4a3e8
(こちらは「人間の条件」第5部「ノモンハンシーン」で使われたソ連戦車。実は自衛隊のM4A3E8だ。
▼このところ朝日には中国が航空母艦を建設しているというニュースが頻繁に掲載される。しかも朝刊に載った週刊新潮の広告には、この「航空母艦建造に対して菅総理が弱腰だ」という記事が掲載されている。先週の「愛川欣也パックイン・ジャーナル」出席したAERAシニアライターの田岡氏が「今どき、上空を警戒する早期警戒機とリンクしていなければ航空母艦単独では何もできない。それに航空母艦の時代でもない。それにアメリカの国債を一番持っているのは中国だし、敵にはなりえない。これだけ世界経済がグローバル化しているのに、武力で他の国を攻撃したら一番損をするのは中国でもあるはずだ。解放軍の中には、「航空母艦を持ちたい」という気持ちを持っている者がいるから訓練をするのかも知れないが、いまや余り意味のないことだ。それに航空母艦の要となるカタパルト(飛行機を母艦から発射する装置)はアメリカの特許でもあるし、アメリカの協力がなければできない。朝日には緊張を過度に高める意図をもって「中国の航空母艦」を持ちこむ人物がいる、というのが田岡の意見だった。
◇「氷雪の門」(その3)真岡は大混乱になる。参謀(丹波)はソ連に「終戦になっているのに攻撃するのは国際法違反である」とソ連軍に申し入れに行くが「敗戦国に国際法はない」と追い返される。さらに別の指揮官(黒澤年男)は白旗を掲げて同じような交渉に行くが、ソ連軍に殺害されてしまう。参謀は最早これまでと「軍旗奉焼」(映画のセリフで、敵に陛下から預かった軍旗を奪われない様にと焼いてしまう)を行う。
▼交換手は一度は局長に「自分たちは最後まで居残りたい」から上部に聞いて欲しいと頼むが、それはダメという返事で、中学生を速成で交換手として養成して任務に当たらせるから内地に引き上げるように言う。しかし主任(二木てるみ)は「わたしたちは一人前になるには2年もかかった。速成した中学生に交換業務などできる筈はない。と拒否して9名は立てこもる決意をする。
▼国境線を突破してくるソ連軍戦車はT34/76型でなければならないが、反ソ映画にソ連が協力してくれる筈はない。ちなみに山本薩夫の「戦争と人間」第三部の戦車戦は当時のソ連に行って撮影されている。しかも映画を撮影したのは37年前の冷戦構造の最中でもある。それに協力したのは自衛隊である。自衛隊はアメリカ軍から供与されていた、M24チャッフィー軽戦車を18両貸し出してくれた。さすが自衛隊だ、自分の目的に合致するとなると太っ腹である。ちなみに最初の「戦国自衛隊」の時は許可が下りず、映画会社は仕方なく自前で撮影用のM61戦車を、某自動車メーカーに依頼してこしらえた。
▼真岡でも市街戦が始まり、郵便局の建物にも砲弾が飛んで来る。ソ連兵に捕まって辱めを受けるよりも死を選ぶ彼女たちは、最早これまでと釧路の局に最後のメッセージを送る。「みなさんこれが最後です。さようなら、さようなら」と言ってブレストを置き、主任が隠し持っていた青酸カリを茶碗に分けて一気に飲み込む。
▼不採用になった松山善三のシナリオを読んだが、もちろんこの話も出てくる。しかしテーマは自分の乳飲み子を「泣いていると敵に見つかるから」と絞め殺した日本兵を戦後数十年たってさがす。旅館の仲居となっていた女(幼児の母親)がようやく復讐して殺すところから始まっている。そして民間人を守らなかった日本軍の指揮官達の責任を追及する話になっている。さらにサハリンに残された多くの朝鮮人たちの事にも触れている。
▼だから真岡交換局の女性たちの最後はネットで探すと諸説出てくる。言ってみればまだ若い女性たちが命を断ったというのは、沖縄の「ひめゆり学徒隊」の悲劇と一部だけだが似て戦争の悲惨さを訴える部分があるので、意識的に利用されたと考えられなくもない。とても良くできている映画だが、これは冷戦期にあって、「緊張を高める」一定の役割を果たしていると言える。

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