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September 28, 2010

NHKHV「神様がくれた時間 岡本喜八と妻…」を見る

Tokkyuu
(倉吉から乗った特急「おき」号)
▼昨日昼は区の健康診断の日だった。わたしも前期高齢者なので事前に老化をチェックする項目がある。1日に15分間汗をかく運動をしているか?1日1時間歩いているか?椅子に座ったらどこかにつかまらず立ち上がれるか?階段を上り下りするとき手すりにつかまらないか?他人に「何度も同じ事を云う」と云われた事があるか?等々、30項目くらいある。これが多いと包括支援センターに連絡され、デイサービスなどのお世話になるのだろう。
▼NHKHV「神様がくれた時間 岡本喜八と妻 がん告知からの300日」わたしはこのところ癌で死亡する人に関するドキュメントを見ている。見たが書いていないのは城山三郎夫妻がまず放映され、次に放映されたのか表記の番組である。岡本は2005年になくなり、番組は07年に放映された。再放送は先週だった。
▼まず俳優の本田本田博太郎が湘南と思われる赤いとんがり屋根の岡本宅を訪問する。ここに妻のみね子が一人で住んでおり、監督がなくなるまでの1年を再現する。岡本役が本田で妻役は大谷直子だった。大谷は岡本の「肉弾」で見出されて女優として活躍するようになる。あるとき岡本が喉の異常を訴えて医者に行くと食堂癌であることを告げられる。そのときはすでにステージ4で内視鏡が喉を通る状態ではなかった。
▼一度入院もするが、妻は忙しくて一緒にいる機会がなかったので、緩和ケアをしながら自宅で闘病生活をする決意をする。といっても自宅でやるのはそれほど容易な事ではない。しかし病院は患者が好きな食事を作ってくれる訳ではない。痰の吸引も検温も患者の都合を無視してやって来る。妻は人間の尊厳を尊重して生きることは病院の都合に合わせるのではなく、より日常に近い生活をする事が尊厳を守る事だと考える。
▼岡本は肉が好きで固形物が喉を通らなくなると、鍋料理の中から好きな物を選ばせ、それをミキサーに入れて自分で流動食を作ってスプーンで食べさせる。もちろん放射線治療にも行くが、それで癌がなくなる訳ではない。進行を遅らせるだけだし、身体に対するダメージも大きい。食事が終えてひと息つくと岡本40作目になる、何とか「馬車」という作品のシナリオのチェックが始まる。妻のみね子は実は映画プロデューサーとして岡本の作る映画の資金集めをしてきた。「肉弾」にしても会社からは資金を出すのを断られ、自力で資金調達をする。そのために家が何度銀行の担保に入ったか分からないほどだ。
▼みね子は岡本の喉に痰が絡むと吸引する機械もないし、看護婦の資格もないのでティッシュペーパーを指に巻いて岡本の喉に指を突っ込んで除去する方法を見つける。その痰とうのは透明で透き通っていて驚いたという。とにかく患者が苦しいと思ったとき除去するのが一番良いに決まっている。大量のティッシュペーパーを使うらしいが、これが一番だと云う。そしてあるとき家で岡本の足を洗ってやっていると「どなた様でしたっけ?」と云われる。看病や介護が辛いとは思わなかったが、この一言が一番寂しかったという。人間最後はみんなこのような認知症状態になるのだ。だがそれにもめげず介護をつづけ、映画化する予定もないシナリオの検討会を二人でつづける。
▼またある日娘が通って来ていて「話がある」と父に云われる。「何?」というと「結婚しようと思うんだが…」と切り出される。そして「相手は誰?」と娘が聞くと「今犬を散歩につれて行った人」と妻の事を云うので娘はホットする。みね子が妻であることは忘れたが、「今度生まれて来るときの妻と結婚したい」ということを意識の奥で持ちつつけていたのだ。そして人工食道も入れたが癌には勝てなかった。介護を初めて一年後の朝、妻に抱きかかえられるように息を引き取った。どのように最後まで岡本に映画監督としての誇りを持たせ続けたのか。妻のパソコンの日記やメモ、それにインタビューと再現ドラマで夫婦の最後の日々を静かに見つめたとても考えさせられる番組でした。

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