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September 24, 2010

コクーン歌舞伎「佐倉義民伝」をWOWOWで見る

Izumotaisha
(出雲大社仮殿、本殿は改修中)
▼雨脚が強くなる一方だったので、映画館にいく気力が削がれてしまった。本を一冊読み、WOWOWで放映していた中村勘三郎の「佐倉義民伝」(コクーン歌舞伎)を録画して見た。これは7月に渋谷Bunkamuraのシアターコクーンで上演されて大人気だった作品だ。チケットはたしか7千円くらいだったが手に入らなかった。
▼ストーリーは前進座などで上演される内容と同一だと思うが、わたしはそれを見ていない。佐倉藩の堀田城主が江戸表で重要な役割を持たされることになる。そのためにカネが必要になる。カネが必要な事は最新のメルマガでご紹介した「義民が駆ける」藤沢周平でも分かる。鶴岡にある藩は潤沢な資金を情報収集のために有効に使わなかったために、城替えを命令されてしまった。
▼堀田は人の良い殿様である。家老が悪知恵をさずけて年貢を計測するマスの枠の肉を薄くする方法を提案する。そして見かけは1俵だが「不足している」と農民に難癖をつける。一方年貢の2割軽減を訴えてに来ている公津の在に住む、名主の木内宗吾。何とか堀田に直接面会して了承を取り付ける。堀田とその子の会話で息子はマリー・アントワネットと同様に「米がなければ饅頭を食えば良いではありませんか?」と言わせる。
▼この作品で優れていると思うのは舞台の上に実際に土を盛り上げて田畑を作ってしまうことだ。そこで、いとうせいこうが作った「百姓春夏秋冬」というラップを農民に踊らせる。そこでは米の収穫がいかに手数のかかるものか実演して見せる。宗吾は堀田に杯をもらって故郷に帰ろうとする。この芝居ではニセ物の由井正雪(中村橋之助)なる狂言回しがでてきて話を進める。そして甚平渡しまで来ると船に鍵が掛けられ佐倉には帰れないようにされている。船宿の親父(笹野高史)と泣かせる場面があって彼は役人が封印した鎖を切って船に宗吾を乗せて佐倉に着ける。
▼ここでまた妻(中村扇雀)と健気な息子達が迎えてくれ、すぐに江戸表に出立しなければならなくなる。この別れの場面がまたまた泣かせる。そして上野寛永寺を参内する将軍(七之助)に直訴する。中村七之助は顔がのっぺりしているので「ラストサムライ」以来、天皇役や将軍役が似合う。当時将軍に対する直訴は許されず、堀田家預けにされる。そして磔になる。犠牲になるのは本人一人かと思っていると、妻や二人の男子と一人の乳飲み子まで処刑の対象として連れて来られている。後はみなさんご存知の通りである。処刑が終わると舞台は一転して昇天した宗吾だと思われる人物が現れる。これが実はニセの由井である。そして全員そろってラップで911から現代の矛盾を歌ってお開きとなる。
▼ラップを使ったという点。それに舞台に田んぼを持ちこんで労働による汗の結晶としての米と、それを収奪する堀田という人物を対照して見せる演出はすぐれていた。とくに宗吾が竹に積もった雪道を転げるように江戸に向かう場面はため息がでるほど優れていた。

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