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January 28, 2011

◇「その街のこども 劇場版」を見る。

▼連載ものは自分で最初に、○回で終わらせると全体構想を決めて書かないと、いつまで立っても終わらない。この間NHKHVのベトナム戦争もの2本や地上波では面白い番組が沢山あった。先週の「愛川欣也パックイン・ジャーナル」も消費税がテーマの一つになっていて面白かった。機会があったらご紹介する。
◇「その街のこども 劇場版」新幹線に乗って広島に向かう列車の中。いやに後ろ姿の格好良い女(佐藤江梨子)が降りてゆく。会社の上司は部下の勇治(森山未來)に「足が長くて良い女だなあれは日本人じゃないね」と呟く。列車が新神戸に停まって発車ベルが鳴る瞬間、勇治はバッグを掴んで脱兎のごとく新幹線から飛び降りる。上司は「彼女の電話番号かスリーサイズを聞き出せよ」と念を押すことを忘れない。女はこどもの頃に阪神大震災を体験し、いまは東京で暮らすと美夏。勇治もまた小学生の頃に災害を体験していた。
▼美夏は大きなバッグを持っておばあちゃんの家に向かうという。しかしそれは4駅区間もあり到底歩いて行ける距離ではない。しかし既に終電は終わってしまっている。最初はナンパか逆ナンパかと思っていたが、2人は話しあううちに共通点があることが分かる。それは16年前に神戸で被災していることだった。彼らは「追悼のつどい」が行われる前日の1月16日深夜に神戸で偶然知り合う。長い時間をかけて町を歩き祖母の玄関先で荷物を届けた美夏。再び歩き初めある家に立ち寄って挨拶したいが、勇治に2時間ほど待っていてくれないかと頼む。「こんな寒い公園で?」という勇治。美夏はマンションで電気が灯っている一つの部屋を目指す。
▼そこは同級生が母親と地震で、押しつぶされた家だった。夜中にドアベルを押す「どなた?」という残された父親の声。部屋の様子は伝わって来ないが、部屋を出て公園に戻ってきた美夏は部屋をふり返ると、父親がずっと手を振っている。娘がもし生きていたらこんな年頃になったと感慨深かったのだろう。美夏も涙がこぼれて止まらない。美夏は勇治と震災15年目の朝を迎えるまでの時間を共に過ごすことになる。勇治が今やっている仕事は建設施行会社でエコ指向で地震に耐えられるマンションを建設しようとしている。しかし上司は100年もったとしても、誰が俺たちの仕事を理解してくれる、とやや投げやりである。
▼演じている2人の俳優をは現実に阪神大震災を体験している。美夏は今まで何度か来ようと思っていたが心の傷に向き合うため、今年こそ「追悼のつどい」に参加すると心に決めていた。勇治は明日のプレゼンテーションに間に合わせるため、とにかく朝一番の新幹線に乗らなければならない。出張の途中で急に神戸に降り立っただけだと言う勇治。美夏は勇治と別れ「117」の数字を竹で作った慰霊の集まりへと足を向ける。父親が火事場泥棒の様に大地震で儲けた勇治。親友を失った美夏と全く異なる震災体験をしたふたりの間には、大きな溝が広がっているように見えた。しかし、その「追悼のつどい」に差し掛かったとき、美夏は勇治が長年抱え込んできた「地震に耐える建物を建てようとする」を実現しようとするとき現実との悩みを垣間見る。16年たって復興を遂げた真夜中の神戸の街を背に、これまで誰にも語ることのできなかったふたりの想いが、伝わってくる。東京写真美術館ホールで上映中。隣の恵比寿ガーデンシネマは残念な事に本日で閉館。

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