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March 01, 2011

◇「サラエボ、希望の街角」を見る。

▼先日コンチネンタル航空で成田からヒューストンに向かっていたとき後半に飛行機が乱気流に巻き込まれた。かなりガクンときてコンチネンタルのCAはしゃがんで、右手で座席につかまり、片手で機内食を運ぶキャリーカーをしっかり抑えていた。キャリーはおそらく5~60kgほどあるだろう。あれが宙を舞ったら乗客は大けがをしてしまう。うーんあの堂々たる体格とあのプロレスラーのような太い腕でないとできないだろうな、とその素早い対応を感心して見ていた。
◇「サラエボ、希望の街角」主人公はサラエボ空港を発着陸する飛行機のCAである。飛行機もこのような美しいCAさんばかりだったらさぞかし楽しい旅になるだろう。しかし見ていると海外飛行はかなりの重労働だと思う。ベトナムに行ったとき飛行機は全員日本の若いCAばかりだったが、6時間フライトしてタンソンニャット空港に到着する頃にはみんな目の下に隈がでていた。サラエボの街で同棲をしているルナはCAで彼アマルは航空管制官である。あるとき管制業務をしている最中にアルコール飲料を飲んでいる事が発覚し、半年間の業務停止命令を受ける。そしてアルコール依存症脱出プログラムに通うように命令される。二人は若いからフライトから帰ったり、管制官の仕事が終わると、空き時間を見つけては激しく愛し合っていた。その愛情はずっと何も変わらないように思えた。
▼アマルは休職を命じられたとしても無給だから何か食っていかなければならない。ある日友人たちとドライブをしていると車がバックした拍子に衝突してしまう。謝りながら車を降りると、相手はボスニア戦争の時の戦友だった。ルナとアマルは同棲している段階で何とか赤ちゃんが欲しいと願っているが、妊娠しないので不妊治療を受けている最中だ。アマルはそれを中断して、その戦友が紹介してくれるパソコン講師をすると、一人旅だってしまう。中かな帰って来ないのでルナはアマルの仕事をしている場所を訪ねる。するとそこは敬虔なムスリムの人たちが住む場所で、女性は肌を見せる様な格好をしてはいけない。さらに水泳で水着を着ることなどもはばかれるという場所だった。さらにアマルはムスリムの礼拝に欠かさず通っていた。
▼彼の論理によればアッラーの元で結婚式を挙げていないから祝福されない。だからここで正式な結婚式を挙げればきっと祝福されて子どもを授かるに違いないと言い出す。ルナもまたムスリムだが、それほど厳密に朝晩の礼拝をするという生活をして来た訳ではない。それにあのボスニア戦争の最中、両親は殺害され、住んでいた家も奪われたという過去を持っていた。だから「いきなり敬虔なムスリムになれ」と言われてもアマルにはとても付いていけない。
▼産婦人病院の人工授精の治療に行くと、心のわだかまりが吹き出し、一度はベッドに横になるが治療を拒否して病院を飛び出してくる。そして別の日にもう一度検査に行くと、医師から「おめでとうございます。妊娠しています。」と言われて驚く。そう、ルナは自然妊娠していたのだ。そしてアマルも妊娠が分かって狂喜するのだが、ルナは「わたしはあなたの子どもを出産するつもりなどない」と立ち去って行く。ボスニア戦争が残した深い傷跡は20年近くたった今も二人の若者に深い傷跡を残していた。岩波ホール。

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