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May 10, 2011

◇「ナチス、偽りの楽園」を見る。

▼昨晩は浜岡原発停止の裏にはアメリカの思惑があったのでは、というメールを下さった方がいた。7日の「愛川欣也パックイン・ジャーナル」でも、菅首相の発言の直後だったので、それがテーマの一つになっていた。川村晃司氏は、中部電力以外の原発から、「あのオンボロをスケープ・ゴートにして止めてしまえば、自分の原発まで止められる可能性が低くなる。また差し止め訴訟が起こされる準備が進んでいることもあり、裁判所命令が出る前に止めてしまう。この二つの力と原発推進派の3つめの力が総合して「停止要請」になったと、指摘していた。
▼もう一つは京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏が電話出演していた。小出氏は20mSvを子どもに適用することについて、「私はやってはいけないと思う。日本では普通の人は年間1mSvという基準があるのに、突然20mSvにするのは、20倍まで危険を我慢しろという意味。しかもこどもは大人の5倍くらい放射線の感受性が高いので、到底許しがたい。被曝で発がんの可能性は増える。1mSvとは2,500人に1人が癌で死ぬという数字。20mSvなら125人に1人。こどもは5倍だから25人に1人が癌で死ぬ数字。20mSvという基準は、それを我慢しろという意味になる。小出氏は最後に日本にある54の全ての原発は即時停止すべきだ」と語っていた。
▼スタジオでは被曝量を示したフリッパーがでた。それによれば日本とアメリカを飛行機で往復しただけで0.19mSvの宇宙線による放射能汚染があるという。わたしは先日南米まで往復したからこの倍はある筈だ。まして乳幼児をこの路線の飛行機に乗せるというのもかなり危険な事である。ゲストの落合恵子はこれはあくまでも外部被曝だけであり、食べものによる被曝は別であると付け加えていた。金子勝の「ニュースにだまされるな!」は財政問題から見た被災地復興というテーマだったが、これも驚くことばかりだった。そのうち時間ができたら書く。
◇「ナチス、偽りの楽園」ナチスに協力した映画人といえば、あのレニ・リヒテンシュタインであろう。彼女はもの凄い美人だったので女優としてデビューした。しかし大柄すぎて相手役の男性と背丈が釣り合わなかったので女優を諦め映画を作成する側に回る。彼女の伝記は分厚い本になっているし、それを元に長編ドキュメンタリー映画も作られている。彼女はその美貌を武器にしてヒトラーやゲッペルスに取り入る。とくにゲッペルスの家に出入りしているところを多数の人に見られているが、レニはドキュメンタリーの中で「まさか、あり得ない」と否定している。しかしその後「意思の勝利」などでレニの名前を決定的なものにする。
▼さてこの映画に登場するのは、ナチスが台頭した1930年代ドイツでコメディアンとして売り出したユダヤ系ドイツ人、クルト・ゲロンの生涯である。彼は最初ベルリンで俳優として売りだそうとした。しかし自分はコメディアンとして売り出した方が良いと切り替える。その結果ベルリンのキャバレーで大人気を得る。しかし彼はノンポリであったため、ナチス批判のコメディも平気で上演していた。しかしコメディアンとして満足するような人物ではなかった。それで俳優兼映画監督として活躍するようになる。しかし映画を撮影していたとき、その中にナチスの手先も入って来ていた。あるとき「ユダヤ人はこの撮影所から出ろ」と命令され、親や親戚を連れてブエノスアイレスへと逃げる。
▼だがそこでも落ち着かずフランス、最後はオランダへと落ち着く。オランダはドイツ語と似ているので、居心地が良かったのだろう。ともかくドイツ以外では名前を知られていないのでお金に苦労する。オランダで名前が出て来たとき、ナチスはその国も占領し、ゲロンはベルギーのテレージエンシュタットの収容所送りになる。たまたまそこへ国際赤十字が「ユダヤ人が不当な扱いを受けているのではないか」と視察に来る事になる。ナチスは急遽「地上の楽園」を作り上げ、収容されているユダヤ人たちにもそのことを告げ、「楽園」を演出する。そのときゲロンはオーケストラの指揮を頼まれ、ナチスの覚えめでたくなる。それで「楽園の記録映画」を作るように命じられる。ゲロンは自分の才能が認められたと喜ぶが、彼は良心という大切なモノをナチスに売り渡してしまう。映画はユダヤ人たちの協力も得られず、不評で失敗する。
▼ナチスは赤十字との「オーケストラや声楽の人達を離れ離れにしない」という約束を守り、全員を同じアウシュビッツ行きの列車に押し込む。そこには当然ゲロンの姿もあった。最後は夫婦仲良く同じ焼却炉送りとなったのである。ナチスに協力したゲロンの波瀾に充ちた生涯を、親戚や当時の俳優仲間や強制収容所の生き証人たちがその素顔を証言する。
▼今晩NHKBSプレミアムで10時半から「ノーマンズランド」(非武装地帯)が放映される。これはクロアチア戦争をしていた頃の話。非武装地帯で地雷を踏んで動けなくなってしまった兵士を助けようとするが、誰も除去できないという戦争の不条理を描く作品である。お時間があるかたはぜひご覧頂きたい。

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