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November 24, 2011

◇「サウダーヂ」を見る。

▼朝から3本の原稿を書き上げて渋谷に出かける。3本というのはブログも入っている。ない知恵を絞って毎日ブログを書いているので、1本だけでかなり疲れる。他の2本は取材したものだ。インタビューではなかったので、あまりオリジナリティは出せなかった。
▼昨日のブログついでに言うと、「一流大学を出た頭の良いひとがあんな事をするなど信じられない」という声が事件が発覚した当時は巷に氾濫していた。しかし良く考えると、今の日本を仕切っている官僚たちも一流大学を好成績で卒業して頭の良い順番で財務省、外務省、経産省などに配属される。彼らが本当に国民の利益にかなった立法や行政をしているか?と考えて見るとそうでもなく、財界やアメリカの利益になることばかり必死に考えているようにも見える。片方は「反社会組織」として糾弾されて、方や国家権力の威信をひっさげて悪法を作りまくる。前者が「反社会的組織」であることは明白である。しかし後者は国民の利益にたたない事をしても何ら咎められない。それどころか高給で将来を約束されている。これをみなさんはどうお考えになるかだ。
▼午後12時40分から見た映画は渋谷ユーロスペースで上映されている、「サウダーヂ」という映画である。前から上映されているのは知っていた。しかし上映時間が2時間40分もあって、わたしが集中して映画を見る能力の限界を超えているので二の足を踏んでいたのだ。だが今見ておかないとレイトショーになってますます行けなくなってしまうだろうと考える。腹ごしらえをして行くと窓口は長い行列が出来ていて、わたしの後の人は通路に座って見る「立ち見」になっていた。
◇「サウダーヂ」この言葉はポルトガル語の「郷愁」というような意味である。日曜日J-WAVEで日航提供の番組があって、そのタイトルにこの言葉が出て来ていた。ドラマの場所は山梨県甲府市。昼飯にラーメンを食べ終わった土木作業員たちが必死に穴を掘っている。彼らは孫請けくらいの仕事で自らを土方(どかた)と呼ぶ。そこにまっ黒に日焼けした男、保坂が入ってくる。なぜ黒いのかみんなが聞くと「タイに長い事行っていた」という。
▼この甲府の町もシャッター通りが続いており、彼ら土木作業員も明日の仕事があるかどうか分からない。さらにこの町にはブラジル人やタイ人たちが3Kの仕事や歓楽街の風俗店で働いていた。土木作業員の親方は「営業に行く」と称して余り現場には顔を出さない。しかし肝腎の穴掘りの仕事に使う重機は故障して、みんなシャベルを持って手作業で一斉に汗だくになって仕事をする。炎天下の仕事に従事しているので、彼らは夜になると酒で気分を紛らすしかない。
▼作業員の猛たちは仕事帰りにタイパブに繰り出す。だが猛はタイ人ホステスのミャオに会って楽しそうな作業員の精司や、盛り上がる保坂にいらだちを感を覚える。そして外国人たちが自分の生活を奪っていると逆恨みして彼らを敵視するようになる。精司の妻恵子が健康に良いというが怪しげな「水」を販売する商売に手を出し始める。そのためますますミャオにのめりこむ。そしてすべてを捨ててミャオとタイで暮らそうと夢想しはじめる。だがミャオはタイの家族を支えるために「オカネが必要よ」でそのためには日本で働き続けなければならない。それにタイは給料が安くて精司の働く場所などないと受け付けない。
▼仕事がなくなって追い詰められて廃業する下請けの親方。イオングループの巨大ショッピングセンターの仕事は東京の大手建設会社が仕切っているから、彼らに仕事は回ってこない。そして保坂は「この街はもう終わりだよ」と見切りをつけようとする。そして出稼ぎに来ているブラジル人達も「saudade」と言って母国に戻って行く人が増えてくる。ポルトガル語で「サウダーヂ」とは郷愁、情景、憧れという日本語が当てはまる。そして、日本に行けば高給を取れると思って大金を業者に支払って日本に来たものの、現実の日本は不況が深刻化し、真っ先に首を切られる外国人労働者たちは、住み慣れた日本を離れ、遠い故国に帰るしかない。彼らの日本で生まれた子どもたちは国籍の選択を迫られている。彼らにとっての故郷はこの国であり、この街しかない。

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