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April 20, 2012

◇「離愁」DVDを見る(その2)

Train
(映画「離愁」のポスター)
▼夕方図書館に借りた本を返しにいったら、「閉館日」だった。わたしは区内で一番大きな図書館の側に住んでいる。休館日は毎月第三木曜日なのだが、時々それを忘れてしまう。帰り道に大きなスーパーに猫のエサなどを買うために立ち寄った。入り口に3分間写真コーナーがあり、母親が5歳くらいの娘と一緒にカーテンで仕切られたカメラの前に立った途端。乳母車が動き出し階段を転げだした。中には幼児が乗っていてまるで「戦艦ポチョムキン」オデッサの階段シーンのようになりそうだった。しかし階段の下にいた若い女性が乳母車を受け止め、1段落ちただけで無事だった。幼児を抱えてカメラに向かい、5歳児は外に置けば良いのに、何と不注意な母親だろう。
▼区民優先のスカイツリーの先行内覧会の抽選には外れてしまった。区民は第一展望台には3割引きで入場できると、案内状には書いてあった。昨晩からスカイツリーのテスト点灯が始まった。しかし近くの人はみな「東京タワーに比べるとインパクトがない」と言っている。
▼今朝NHKラジオビジネス展望で田中直紀は「原発を再稼働しないと経済が停滞する」と言っていた。田中もデビューしたのは「軍拡の不経済学」だったが、何と言うていたらくなのだろう。昨晩の「報道ステーション」で立命館の浜矩子教授は「原発の再稼働には反対、もし再稼働しても日本からシャッター通りはなくならない」と言っていたが名言である。誰のための再稼働なのか?原発マフィアのための再稼働であることをはっきりさせておきたいものだ。
◇「離愁」(その2)
▼マリアはジャンからもらったサンドイッチを、はた目を気にすることなく、むさぼり食う。列車は動き出すがその瞬間、女は敗れたストッキングを線路脇に脱ぎ捨てる。そのときジャンは女の靴に目が行く「いい靴だね。どこで買ったの?」と聞くと、女は言いにくそうに「ロンドン」と答える。靴下を脱ぎ捨てた事が全てを語っており、夜車内が暗くなるとそっと「抱いて」と迫ってくる。いつ死ぬか分からない緊迫した状況は、お互いの立場を取り払う。しばらく進むと列車は兵士によって鉄橋の手前で止められる。「地雷が仕掛けられているから通せない」と彼らは言う。乗客は少しでも先に行きたいので「通せ」「通さない」の押し問答となる。ジャンは「それなら客のわたしが運転すれば問題ないだろう」と自分が運転する事を買って出る。正式の機関士の指示通りに操作して列車は無事橋を渡り終える。女はジャンの勇気に惚れ惚れとして親密さはさらに増す。
▼妻の乗った車両は途中の駅で切り離され他の機関車が牽引してどこかに行ってしまう。途中の駅でみんなは水道水を使って水浴びをする。ジャンと女も素肌を見せ合ってタオルを使って沐浴する。他の客は無人となった家に入り込み、家の主が置いて言ったワイン類を持ち出し列車の中で、ダンスや宴会が始まる。酔ってみんなが寝静まると2人は再び肌を合わせる。そのとき貨物列車で人気の舞姫ジョワーも同じことをしており、女とウィンクをする。「こんな時はみんな同じ気持ちになるのよ」と言った風情だ。
▼女はジャンを値踏みするように「どうして兵役に行かなかったの?」と聞かれる。「目が悪いので二級免除で行けなかった」と答える。おそらく信頼できる人間かどうか確かめたかったのだろう。そして女は自らの身分を明かす。それによると名前はアンナと言い、国籍はドイツでベルギーの収容所から逃げてきた。夫は新聞社を経営していたが、ナチスに閉鎖されてしまい、逃げてきた事を明かす。時々列車はユンカース爆撃機の急降下爆撃で襲われ、絨毯爆撃で重傷者を出しながら進んでいく。ナチスドイツの別の軽飛行機は宣伝ビラを撒く。そこには「すみやかに家に戻れ、危害が加えないから」と書いてあるが、そんな事を信用する人は誰もいない。駅に着くたびに「家族を捜す人は1番線の赤十字相談所まで」とアナウンスは叫び続けているが、タイミングが悪くジャンは妻を捜せないまま、終着駅に着く。仮設施設に入るためには身分を明らかにしなければならないが、ジャンはアンナを妻だと偽って1週間だけ有効な仮の身分証明書を発行してもらう。
▼そして翌朝、妻の入院している病院を探し当てて訪ねる。アンナは「一緒に行ってもいい?」と言うので「もちろん」と答える。病院の近くのホテルにたどり着くが部屋はなく、困っていると、見かねた受付嬢が「わたしの部屋でよければ、私物には手を触れないでね」と念を押して出て行く。ジャンが妻を面会にいっている間にアンナは姿をくらましてしまう。
▼それから3年後、ジャンは妻と列車で別れ別れになっているあいだに、何があったか夫の変化に気づいているが何も騒ぎ立てず、平温な暮らしを送っている。そんなある日、ゲシュタポから「聞きたいことがある」と呼び出しがある。ゲシュタポの取り調べ官は書類を2通見せて「この女性に見覚えはありませんか?」と聞かれる。そのファイルにはあのアンナの顔写真が貼られていた。「いいえ何も知りません」と答えるジャン。黙っていれば妻と娘達との平和な暮らしが待っている。「そうご存知なかったんですか。それは良かった。実はこの女はドイツ人なのにイギリスのスパイとしてフランスに送りこまれていたんです。」と言われ唖然とする。やっぱりアンナなスパイだったのだ。
▼係官は狡猾にも「せっかく来たのだから会っていってください」と隣の部屋のドアを開けると固い表情をしたアンナが座っている。一度は知らん顔してやり過ごし部屋を出て行こうとする。しかしアンナは知り合いだという事を知られまいと、手の甲を強く握りしめるクローズアップ。しらばくれて逃げようとしていたジャンは、戸口から再びアンナの元に駆け寄る。アンナの溢れる涙…。係官の「やっぱり思った通りだ」とほくそ笑む。声高に「反戦」を叫んだりしない。しかし戦争がなければ2人は普通の出会いで終わっていたかも知れない。ストッキングの使い方でアンナが心を開いていいく様子を描いているのが素晴らしい。戦争の実写フィルムと映画の組み合わせがとても優れていて違和感がまったくない。1975年のフランス、イタリア合作映画。アンナを演じるロミー・シュナイダーの最高傑作映画だと思う。

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