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May 30, 2012

◇「アイリスへの手紙」のこと。

▼毎日検索用語を見ていると、まぁはっきり言って情けなくなる。女優やタレントの名前が出るとそれだけでやって来る。ああ暇つぶしにご覧になっているのだろうな、と思う。最近は一日に一度は「日本中にある跡継ぎ」問題が必ず入っている。跡継ぎとは、元もと日本が封建制度だった頃、領主(殿)が年貢のとりっぱぐれや、農民が逃げないように作った制度である。高度成長時代から都会の工場労働者として、農民を都会に流出させる方式を政府が意図的にとったことから、これも崩壊しつつある。農村部に行くと立派な家が「空き家」になっているケースが数多くある。限界集落だけではない、普通の村が限界になってしまった。つまり過疎化が進み、医者や買い物に行くのに車を使わないと動けない。
▼若いうちは良いが70歳を過ぎたらもう、こんな過疎地に住めなくなってしまうのが現実で、先祖の墓守すらできなくなる。この傾向は日本より先に欧米が進んでしまっている。23年ほど前に「アイリスへの手紙」というアメリカ映画があった。主人公はロバート・デニーロ(スタンリー)とジェーン・フォンダ(アイリス)だった。フォンダがバスの中でひったくりにあう。その容疑者を追いかけるが逃げられてしまう役がデニーロだ。フォンダは高校生の娘と小学生の息子の二人の子供をかかえて、夫は死亡してシングルマザーとして町の製菓工場で働いている。デニーロと会話をしていくうちに、彼が文盲であることが分かる。
▼何故かというと、スタンリーの父親は行商人で、小さい頃から父親の商売について歩い行った。そのためスタンリーは転校を繰り返していた。学校の先生と言えばスタンリーが腰掛け入学を繰り返しているのでスタンリーには本気で勉強を教えなかった。それで彼は授業中いねむりばかしいた。だから学校に通っていたが、文字も読めんず字も書けないまま大人になってしまった。
▼工場の経営者は、スタンリーが文字が読めない事を知る。彼が工場で作られている毒薬や調味料のラベルが読めない。するとトラブルが起きたら困るのでスタンリーをクビにする。年老いた父親の面倒をみていスタンリーは失業したので生活に困り、父親を老人ホームに入れる。その老人ホームから「父親危篤」の電報が来るが、電報の文字が読めないので、父親の死に目にあうこともできなかった。
▼自分の名前も書けないので、銀行口座も開設できず、運転免許すら取得できない。当然、紹介された就職口は条件が悪いものしかなかった。スタンリーは一念発起して、以前から好意を寄せていたアイリスに「文字を教えてくれ」と頼む。アイリスは図書館から文盲教育の教材を図書館で借りる。仕事から帰ると毎日、自宅でスタンリーに文字を教える。 
▼アイリスは夫がなくなってずっと頭脳から夫への思いを断ち切れなかった。だが毎日の授業を通じた触れあいから、スタンリーのアイリスへの一途な思いを知る。やがて二人は心を通わていく。デニーロが歩きながら必死に言葉を覚えようとする場面が印象に残っている。それよりも当時このビデオを見て、アメリカでは老人が末期になると施設に入るしかないことに衝撃を受けた。こうして最後も独りになっていくのだ。
▼ところが日本は昨日のNHK「クローズアップ現代」を見ていると、政府は医療費を負担するのがイヤなものだから、言葉だけが綺麗な「在宅介護」を国民に押しつけるのが実態だ。その結果「老老介護」が常態化して共倒れや最悪の場合、介護に疲れて「老老殺人」さえおきてしまう。「アイリスへの手紙」はとても良い映画だがDVDは作られていない。ネットで古いVHSビデオが売られているがかなり高い。近くの図書館には在庫はあるが、わたしの家にはビデオの再生レコーダーがない。

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