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May 02, 2012

◇NHKBSで「泥の河」を見る(その1)

▼午前中出かけていたらにわか雨が降ってきてびしょ濡れになってしまった。ジーズとTシャツ一枚だったので早足で自宅に戻って事なきをえた。昨日夕方からのニュースは藤岡インター付近で起きた高速バスの事故で、運転手さんが逮捕されたニュースを延々とやっていた。午後7時のNHKニュースもトップだったが、ジャンバーのフードを目深にかむった姿で手錠を掛けて連行する姿を流すのは異常としか思えない。今回の事件で一番責任があるのは、無理難題をふっかけた名古屋のツアー会社と、それを運転手に命じた千葉のバス会社運行である。運転手さんは頼まれればやるしかない。
▼昨日の朝日朝刊に同じ路線を記者が別の高速バスに同乗するレポートが乗っていた。それによれば運転手さんは2名いて2時間で交代して運転していたという。これが正常な姿なのだ。ツアー会社から安い値段で叩かれたバス会社は運転手を一人にして利益を出すしかない。記事によればこの路線の採算線は3500円だという。あの事故を出した会社は2800円だった。もう一つ言えば高速道路の会社がガードレールを防音シェルターを越すまでまともに設置していれば、このような大事故にならずに済んだはずである。
◇「泥の河」NHKBSプレミアム。小栗康平初めての監督作品で原作は宮本輝だ。昭和31年の大阪は安治川の河口付近に、住んでいる人たちを描いている。主人公の田村高宏は満州から内地に引き揚げてきてこの河の近くでうどんやを開いている。先妻がいたが何かの事情で今の妻(藤田弓子)と結婚して息子が一人いる。藤田は自分を拾ってくれたと田村に深く感謝している。息子の同級生は船上生活者をしている母(加賀まりこ)と姉と3人で暮らしている。加賀は夫に逃げられ自分の細腕で3人で食べていかねばならない。しかも病弱である。それで出来る事と云ったら、たった一つしかできない。
▼それが近所の人たちやそば屋に来る客達の噂話になっている。藤田はそんな加賀の子どもたちに優しく接する。藤田の長男も加賀の子どもを自宅に呼ぼうとするが、「加賀から行ってはならない」と命じられているようだ。あるとき自宅からサイダーを盗んで彼らに届けようとするが、場違いな物をもってきたことに気づき、河に投げ捨てる。
▼藤田は加賀の実情を知りながらも優しく接する。うどんを食べさせたり、娘には浴衣を着せたりする。喜ぶかと思っているが、娘は一旦浴衣を着るが脱いできちんと畳んで返す。彼らは「叔母さん石けんの匂いがする」と喜んで藤田に接する。あるとき加賀の息子が「ここはお国を何百里、離れて遠き満州の、赤い夕日に照らされて」と軍歌の「戦友」を唄いだす。田村は昔自分がいた満州を懐かしく思い「全部歌ってくれないか」と頼み込む。少年は昔父に教わったと、朗朗と歌い出すが、この場面は涙が止まらなくなる。(続く)

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