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May 16, 2012

NHKBSで「東京物語」を見る。

▼親戚の引っ越しがあって手伝いに行った。といってもわたしには最早重いものを持ち上げる体力はないので、「アリさんマーク」の会社の人の作業を見ているだけ。わたしより一回り年上の夫妻で、横浜から東京までの移動だ。荷物はもっと少ないかと思っていたら、大型トラック4台ほどあった。断捨離することもなく荷造りをしたと見えて、家具や道具はまたたくまに公団住宅の2DKを占領してしまった。
▼とにかく鍋釜だけ出して、寝るためのスペースだけ確保して撤退した。何度か紹介しているが女優の高峰秀子が後年書いたエッセーがある。高峰はそこで「家具も食器も2組あれば十分。最後は世界文学全集を背負って船から海に飛び込む」と書いている。人間はやがては歩けなくなり、車の運転もできなくなるのだから、70代になる前に持ち物や、家は思い切って処分した方が良い。歩いて10分の範囲ですべての生活が完結できるように…。自分の日常生活のために何時間も車や電車、バスにのるのはいちばん無駄だ。
◇「東京物語」小津安二郎の1953年の作品で、日曜日にNHKBSプレミアムで放送された。元は35mmのフィルムで撮られたが消失しててしまい、残っていた16ミリフィルムからデュープしたので画質がとても悪かった。それをNHKらの技術でデジタルリマスター化したのが、この日放映された作品である。笠智衆と東山千栄子夫妻が尾道から東京で開業医をしている長男(山村聰)と長女(杉村春子)のところに久しぶりに遊びに来る。
▼その最初の方の東山のセリフに「一晩で東京まで来ることが出来るなんて、長生きはするものだ」というのがある。ドラマの場面で計算してみるとおよそ17時間ほどかかっている。今ならば新幹線で4時間くらいではなかろうか?東京はもっと賑やかなところかと思って来たが、南千住あたりのお化け煙突があるところだ。もっと居心地の良い所かと思って来たが、子どもたちは仕事と子育てで忙しく、彼らにつきあってはくれない。ただ次男のOLをしている嫁(夫は戦死)しているが、夫妻に優しく東京見物に連れて行ってくれたりする。長男と長女は自分たちが忙しいのでカネ(3000円)を渡してを、熱海に旅行してくるようにと言われて出かける。温泉は確かに良かったが、旅館は若者向きで深夜までマージャンでうるさく、唄ったり踊ったりするのでうるさくてとても眠れない。一晩で東京に帰ると長女は「もっとゆっくりしてくればよいのに」と、迷惑顔だ。
▼結局血の繋がっていない嫁が一番親切で、笠はもう一晩旧友にあって酔いつぶれて深夜警察に補導されて長女の家にたどり着く。尾道が帰った直後、東山は危篤になり、子どもたちは三々五々実家に帰るということで、家族のあり方を考えさせられる。このテーマは山田洋次の「続・男はつらいよ」でミヤコ蝶々が出る作品、伊丹十三の「お葬式」などに引き継がれている。

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