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July 22, 2012

◇「ローマ法王の休日」を見る。(その1)

▼誤解を恐れずに言えば、わたしたちが目にしている「世界史」とはキリスト教視点にたった「異教徒征服の歴史」であると思う。十字軍もレコンキスタも、東洋に対する布教の歴史もそれを通じて領土を拡大するか、自分に都合のよい貿易、権益を広げ続けて来た。その中心にあったのはローマ法王庁である。近年ローマ法王庁の闇を描いた映画には「ゴッドファザー3」がある。
◇「ローマ法王の休日」実際キリスト教の権益の中心にある法王を決めるのは、大変な仕事であるはずだ。この映画を作ったのはイタリアの奇才、ナンニ・モレッティ監督である。約1994年に、当時の日比谷シャンテで「親愛なる日記」を見た瞬間、この監督は天才ではないかと思った。だが当時監督はメジャーではなく、三原橋の地下にある銀座シネパトスでレイトショーがあり、何本か見てモレッティをますます好きになった。地下で見た映画はイタリア語で英語の字幕だったので、当時のわたしの語学力でどこまで理解できたかは分からない。見たのは「赤いシュート」、「僕のビアンカ」、「青春のくずや~お払い」だった。いずれも現実の世界への皮肉たっぷり作品だった。
▼ローマ法王庁で前法王の葬儀シーンから物語は始まる。問題は次の法王をどうするか、という選挙である。100人ほどいる全世界の枢機卿の無記名投票によって選出されるのだが、責任の重さからみんな法王になることを恐れている。何度かの黒い煙りが煙突から吐き出されたあと、ようやく一人の男メルヴィル(ミシェル・ピコリ)が選ばれる。選ばれなかった他の枢機卿たちは一様にホッと胸をなで下ろす。
▼だがみんなに促されて国民が新しい法王庁の前で法王の第一声を待っていると、気後れしてメルヴィルは自室に戻ってドアに鍵を掛けてしまう。側近のメディア部長は「法王庁の外に出たい」というメルヴィルの要求を聞きいれ、ローマの町の散歩することを勧める。当然護衛も付いているが、彼らはスイスの傭兵会社から派遣された兵士でもある。その証拠に衛兵たちは一様にドイツ語を喋っている。
▼車から降りて歩きたいというメルヴィルの要求を聞きいれて、精神科医を受診させ、町を散歩していると大型バスが目の前を横切る。法王はそれを利用して町の雑踏に逃げ込んでしまう。慌てたのはメディア部長と護衛の傭兵たちである。メルヴィルは今まで知らなかった市民の生き生きと生活している町の空気を味わう。あるレストランに入り、一応法王庁に連絡をしなければまずいだろうと、客の携帯を借りて連絡だけする。レストランにブティックみんなみるものは珍しいものばかりだ。
▼ある店で「何をしている人なのか?」と聞かれる、一瞬メルヴィルは若いころ俳優を目指していたことを思い出し「舞台俳優だ」と答える。町でメルセデス・ソーサ(アルゼンチンのフォーク歌手)の「すべては変わる」を歌う集団に出会う。歌っている人たちはソーサそっくりの格好をしている。(会議のため、明日に続く)

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