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June 30, 2015

◇「沖縄うりずんの雨」を見る(2)

▼この映画を見て3人ほどの女性の生き方が気になった。一人は父が出征して60日目に生まれた女性。父が死ななければ普通の人生が待っていたに違いない。ところが彼女の母親は,古典的な「結婚もせずに一人で娘を育てる」という道を選ばなかった。主人公には妹や弟が生まれるのだ。最初は兄妹が増えて楽しいと思っていた。ところが思春期になると、色々な噂が耳に入ってくる。一瞬だが彼女が母親と一緒にいるときの写真が一枚出てくる。
▼ヨーロッパの映画女優のような美しい人だ。悪い意味ではなく、母親は男ならほおって置くはずのない美貌を最大限に生かそうと思ったのだろう。だから自分が産んだ子ども達は全員立派に育て上げた。孤閨を守るではなく、逞しく生き抜いたのだ。主人公は最初それが分かったときは辛かったが、いまはすべて受け入れられると語る。
▼もう一人は高校生時代にベトナム反戦運動をしていた女子学生である。この人も現在60歳近くになっているが,沖縄は本土の犠牲にさせられたという,強い信念をもって現在も基地を無くす運動に取り組んでおられる。なぜ「基地負担を沖縄だけが負わなければならないのか?この考えが彼女の生きるバックボーンになっている。もう一人は女性カメラマンで沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落したとき、たまたま近くにいたのでインスタントカメラを買って駆けつけ、撮れるものはすべてとる。そのときマスメディアのカメラマンは若い米軍兵士の「OUT、N0」の声と手に遮られて何も写せない。彼女は一旦帰宅して普通の一丸レフカメラを取りに行って写しまくる。当事者でないと死ぬきになってシャッターを押せない。彼女はいまも沖縄で起きていることを写し続けて個展を開いて訴え続けている。
▼この映画ではあの12歳の少女レイプ事件の3人の犯人のその後をアメリカに追っている。さすがユンカーマン監督だ。一人は取材拒否、一人は女性レイプ事件を起こしたあと自殺している。もう一人の黒人兵は取材に応じた。暇つぶしに飲んでいてレンタルレコードショップで女性を物色するのだが、まさか本当にレイプするとは思っていなかった。彼らはいずれも6~7年の実刑を受けていた。3番目の男性はトラックの運転手をしたかったがそれも出来ず人生が狂ってしまった。被害者には深く反省してるという。
▼さて沖縄の米軍基地の中では女性兵士に対して性犯罪はないのか?AP通信が情報公開したところによれば過去10年間に180件の被害があったという。さらに現実には1年に200件くらいの事件が起きているという。つまり戦争する場所では言論の自由も、女性が男性と対等に発言する場も存在しない。2時間半の長い映画だが最後はいま最大の暴力の場となっている辺野古の海で「平和丸」が監視、運行する場面が出てくる。監督は鉄条網の清掃をしている女性米軍兵士に聞く、「貴女の敵は何ですか?」と,彼女は「我々は即応舞台だから要請があれば何処にでも行く」という返事が返ってくる。つまり自分の頭で考えるすべは失い、命令だけで動く人間にされてしまっているのである。

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