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March 01, 2016

◇「キャロル」に見る、女性の生き方。

▼今朝は房総方面で成田線と総武本線で電車の架線が凍結して、早朝電車が動かなかった。成田線には「我孫子(あびこ)」という駅がある。TBSラジオを聴いていると、土曜日の午後1時55分頃にこんなCMが流れる。男が女にプロポーズする「僕と結婚して下さい」。女「ええいいわ、でも我孫子に住んでくれる?」男「どうして?」。女「我孫子に住むと色々特典があるの」という。これには笑ってしまう。特典に惹かれて結婚して、後で後悔しなければいいのだが…。
▼昨日は月末だったので、あちこち歩き回った。近くの公園の河津桜はほぼ満開である。さらに街路樹を見ると白木蓮のつぼみがかなり大きくなっていた。おそらくあと1週間もすると満開になるだろう。外気の寒さとは別に地球の地熱は確実に春を呼び寄せている。
◇「キャロル」1952年のニューヨーク。高級百貨店でアルバイトをするテレーズ(あの「ドラゴン・タトーの女」のツゥルーニー・マーラ)は、接客で忙しい。そのクリスマスで賑わう売り場で、鮮やかな金髪の美しい女性客を見つける。真っ赤な唇。真っ白な肌だ。そして贅沢な毛皮のコートを着ている。女性客と一瞬目があい、子どものオモチャを自宅に配送してくれと言って立ち去る。客の名はキャロル(ケイト・ブランシェット)で、数日後「荷物は間違いなく届いた」と電話がかかってくる。
▼一目あった瞬間、テレーズはキャロルに憧れてしまう。しかしキャロルは、以前にも女性と関係を持ち、夫と息子の親権をめぐって揉めていたことがわかる。一方テレーズは小さい頃から「鉄道が好き」だった。その知識がオモチャを選ぶ時に役立った。写真家になりたいテレーズは写真を撮っていることを知ると、男友達がニューヨークタイムズの編集者を知っていると、紹介されそこで働くことになる。
▼あるときキャロルはテレーズを誘って執拗な夫の目を嫌って西部に逃避行に出る。車でモーテルを転々とするのだが、あるとき同じモーテルで「物売り」を自称する男と一緒なる。ところがそれは夫の雇った探偵で、二人の様子を録音して、裁判で有利になるように、録音テープは送った後だった。しかたなくキャロルはニューヨークに戻る決意を固めるが、そこで待っていたのは息子の親権を巡る裁判だった。
▼キャロルはこれ以上裁判を長引かせても、お互いの醜いところを晒すだけになる。それよりも、親権は夫に渡すから1週間に一度息子に面会できるように、と望みを主張する。ストレートな女性同士のラブストーリーでありながら、退屈さがない。さすが「太陽がいっぱい」のパトシリア・ハイスミスの原作だけのことはある。最後もキャロルが単純に夫のもとに戻るわけではない。テレーズは新聞社の正社員になり、個展を開く実力もつけている。最後にはきちんと「自分の欲しいものを自分で選ぶ」女性に育っていっている。最後の個展のあとの派^ティの、ケイト・ブランシェットの「目力」には脱帽するしかない。もう目だけであれだけの演技ができる女優は彼女しかいない。ビリー・ホリディのレコードを買い、所々で切なく曲が流れてくる。

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