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June 21, 2017

◇「笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ」を見る。

▼この時期になると、青果店にサクランボが並ぶ、近年では安価なアメリカンチェリーが幅を利かせている。しかしかつては国産のサクランボしかなかった。わたしの祖父は新しい事にチャレンジすることが好きだった。戦後まもなくリンゴ畑の一角にサクランボの木を植えて、商売として成り立つか実験していたようだ。ところが近所のガキ大将の格好の標的となって、無断で敷地にはいり、勝手に木に登って食べられ、自分たちの口には中々入らなかった。当時NHKのら女番組で「サクランボ大将」という番組があり、古河ロッパが出演して、全国を旅する番組を放送していた、今でもきおくに残っているのはそのテーマ曲である。♪「春の川岸 青葉の蔭に さくらんぼ 隠れんぼ さくらんぼ」というものだ。相手役の公子は楠木とし江だったと思うが、記憶はさだかではない。
▼日曜日深夜24時55分NNNドキュメントは『シンちゃんTV奮闘記 小さな町の記録係の10000回』だった。これはわたしの生まれ故郷の隣町の駅構内にある、とても小さなケーブルテレビ局の話だ。名前は「テレビ西軽」で社長と社員二人で取材から放送、経営までやっている。もし興味のある方は25日にBS日テレで再放送されるので、ご覧いただきたい。地域住民と結びついた報道姿勢は「サントリー地域文化賞」を受賞し、小さなスタジオには当時のサントリーの会長が訪問している。実はわたしも15年ほど前に出演させていただき、その模様を録画したビデオテープは家の何処かにしまってあるはずだ。
◇「笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ」ニッポンの100年を駆け抜けた女と男。むのさんはご存じのように朝日新聞を終戦のその日に退職jして故郷秋田に帰ってしまう。映画の中で喋っているのは、「今まで天皇制を肯定していたのが、敗戦と同時に真逆の占領軍を肯定するような記事は書けない」というものだ。それも新聞社としての反省もなく翌日から恥知らずにそんな新聞を作る事に協力できない、というものだった。むの氏のことは「たいまつ30年」とか NHKテレビ出演のものがあるから、それをご覧いただきたい。
▼映画は。 2014年4月。まもなく100歳を迎える二人が対面するシーンから始まる。同じ時代を生きてきた、笹本恒子とむのたけじ。笹本は日本初の女性報道写真家である。わたしはこの映画を見るまで笹本の事は殆ど知らなかった。むのは誰にも、どこの資本にも頼らない孤高にして伝説のジャーナリストだ。
▼その日、出会いの記念にと笹本は持参した赤いバラの花束を贈り、1本引き抜いてむののスーツのポケットに刺す。すると、むのは「赤いバラが好き。いのちを表す花だ」と目を輝かせて笑う。そしてカメラは、100歳を超えてなお現役で活躍する二人の、いのちの輝きとその秘訣に深く迫っていく。 むのは「たいまつ」という週刊の手作り新聞を発行する。と言っても当時はワープロなどないから、活字を買って自ら植字工として一本一本活字を拾う。当然読者はいないから、読者の獲得から始めなければななり。半年続けて「潰れないメド」が付き、1年たってようやく採算ベースに乗る。社員など雇うお金はないから妻や長男たちが製作から配布までの一切を手伝う。
▼監督は、NHKのディレクターとしてドキュメンタリー番組「がん宣告」「シルクロード」「チベット死者の書」などで数々の賞を受賞、大ヒット作『天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ”』で知られる河邑厚徳だ。
▼本作では、むののペンと笹本の写真を交錯させながら、二人の証言を通して激しく揺れ動いた時代の人間ドラマを描きだしている。 笹本は戦前だったが、新婚旅行は憧れの野尻湖にいく。笹本は戦争下にあって女性たちはどのように生きてきたか活写する。さらに60年安保の時は強行採決から自然成立までの一ヶ月間は毎日国会に通っていたという。写真の一枚にはあの国会議事堂南門で「虐殺抗議」と大書された看板の前で立ち尽くす人々の姿も写っている。
▼わたしがこの映画で衝撃を受けたのは、笹本が追っていた鈴木真砂女の事だった。映画の中で鈴木の「かくれ喪 あやめは 花を落しけり」を聞いたときは目眩を覚えたほどだった。さっそく図書館にリクエストを出し、すでに2册読み終わった。むのも鈴木も人々の日常に寄り添う血の通った視点が優れていると感じた。むのは最後の方で早稲田の学生たちに呼ばれて「SEALDs」らしき二人の青年に問われて語る。彼がが自慢だったSEALDsは解散して、」共謀罪でも姿のかけらも見せなかった。所詮はしかのような流行だったのだろうか?
▼正しさを貫くのは容易なことではない。テレビに取り上げられたり、十把一絡げ(じっぱひとからげ)では組織活動は出来ない。身の回り5m以内にいる人たちにどう働きかけ、意識の変化を待つしかない。100年の歳月をしなやかに生き抜き、笑いながら終えようとする二人からは、学ぶべきことは多い。有楽町ヒューマントラストで午前9斑45分の回のに上映中。

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