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August 10, 2017

7日映画「黒い雨」を見る。

▼柳田邦男の「空白の天気図」という小説がある。戦争中の天気図は敵に情報を与えないため、白い部分が多かったという話だ。その中に予報部には一般の気象予報官と、軍部の予報官が関を並べていた。しかし食事時になると気象庁の人々は貧しい弁当かおにぎりを食べていた。しかし軍部の予報官は豪華な食事が出て、同じ仕事をしているのにこの差別的な扱いは何だと、お互い気まずい思いをしたという。昨夜それに似た希有な体験をした。ただし実際に起きたのは食い物の話ではない。人間としての生き方に疑いをもちたくなるような話だ。
▼「いろはカルタ」というものがある、「犬も歩けば棒に当たる」といいうのだ。ではその「ら」は何かご存じだろうか?江戸では「楽あれば苦あり」である。わたしの娘が幼かった頃、子ども雑誌の付録で「かるた」が付いてきた。その「ら」とは「ラン、スー、ミキのキャンデーズ」だった。いま活躍しているのはランちゃんだけ。田中好子のスーちゃんは映画「黒い雨」の主人公のようになくなってしまった。7日夜、日本映画専門チャンネルで1989年に製作された「黒い雨」が放送された。映画は井伏鱒二の小説が原作となっている。この中で田中は原爆の直撃は受けなかったが、その数日後に降った黒い雨に打たれ被爆して白血病になる。叔父夫妻(北村和夫、市原悦子)の家に引き取られ、結婚相手を探そうとしているが、彼女は症状が出始めていてアロエを身体に貼ったり、髪をとかしているとごっそり抜ける。叔父は医師から「被爆していない」という証明書を貰って嫁がせようとするが…。
▼NHKで日曜日夜、広島の被爆者のビッグデータを収集して、どこでなぜ人が死亡したか分析する番組を放送していた。一番多いのは、核爆発による放射線と爆発の直撃である。3日後から死者が増える。それは実験によれば放射線で血管の中の血液が沸騰し、その泡が臓器に付着しそれが原因で感染症にかかってしまうのだ。この血液の沸騰は初めて知った。さらにその数日後に黒い雨に打たれた人たちである。国の方針は爆発の同心円の中にいた人にしか「原爆症」を認定してこなかった。映画では田中が入院するためトラックの救急車で運ばれる場面で終わっている。だがこの番組では「もう一つのラスト」(カラー版)が放映された。それは田中がお遍路さんになって自分を見つめ直すと言う内容だった。

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