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January 31, 2018

◇「デトロイト」を見る。

▼1967年のミシガン州で起きた「デトロイト暴動」を覚えていらっしゃるだろうか?退役軍人の帰国歓迎会を開いていた町は大賑わいだった。その中に4人の男性コーラスグループがあった。美しい声の青年たちは何とか一旗あげようと、ショーの前座を務めていた。あるときレコードメーカーのオーディションを受けようと張り切ってスタジオにやってくる。ところが録音をしている最中暴動による停電が起き、ストップしていまう。しかたなく灯りをたよりに、一軒だけあいているホテルに行く。決して奇麗なホテルではないが、手持ちのカネは11ドルしかない。部屋に行くと、暴動は広がり、州兵も動員されたようだ。
▼暴動に地元デトロイトの警察官も神経質になっている。あまりにも騒がしいので、もう一人宿泊客の青年が部屋から外に向けておもしろ半分に競技用スターターを一発発射する。勿論音だけで弾丸は出ない。ところが州兵や警察官は自分達が狙撃されたと勘違いして、ホテルに容疑者検索のために押し寄せる。そして宿泊客を整列させ尋問を繰り返す。客のなかには、地方から来た女性客も二人いて、警察は彼女たちを売春婦だと決めつける。
▼中でも数人の白人警官のクラウスが捜査手順を無視し、宿泊客たちを脅迫。誰彼構わずに自白を強要する不当な強制尋問を展開していく。それは宿泊客を全員壁に向かって後ろ向きに立たせ、ときには銃をつきつけ尋問するのだ。とくにクラウスは差別主義者で黒人は悪で犯罪者だという前提で、拷問のような取り調べをする。取り調べの最中、店の警備員をしている黒人は何とか正義を貫こうとするが、白人の警官に逆らうことはできない。取り調べの最中に2人の黒人は故意ぶ射殺され、一人は狙撃されて殺される。
▼翌朝暴動が鎮まるとクラウスは生き残りの客を解放し、取り巻きの警察官や警備員に射殺はなかった、事故だったと口止めをする。事故直後警察上部による取り調べが始まる。上司らは一人ひとり尋問し、クラウスがレイシストだと決めつける。そして裁判が始まり、陪審員は「無罪」と評決を出す。白人が住む街で起きた事件は「犯罪」になり得ないのだ。これがもっとも唖然とする瞬間で、いまのレイシスト国家アメリカも、白人至上主義で当時と何ら変わっていない。
▼この事件の概要はNHKBS1で2日金曜日午後9時から放送されるので、ぜひご覧いただきたい。

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