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April 23, 2018

◇「ラッカは静に虐殺されている」を見る。

▼シリアは私たち日本人にとって遠い存在である。しかし先週NHKETVで再放送された。「ラーマのつぶやき~この社会の片隅で~」で、家族4人で5年前に日本に難民として逃れて来た話だった。16歳の女子高生ラーマさんは16歳ですっかり日本に溶け込んでいる。しかし収入を失った父親は、プライドも持てずにいる。ラーマは「人間を殺す人間が一番信頼できない」と言う。今シリアのアレッポのテロリスト集団イスラム国に占領されている。3年ほど前に人を介して在日シリア臨時大使にお目に掛かった事がある。そのとき大使は「シリアのアサド政権は民主的な選挙で選ばれた唯一合法政府である」と語っていた。そのときシリアの事を全く知らなかったので、「そうなのか」と思って聞いていた。しかしその後見聞きするシリアとはアサドによってかなり強権的に維持されているのではないか、と思っている。
▼このドキュメンタリーを見ていると、ラッカで反アサド勢力が闘っている最中、どさくさに紛れてイスラム国が、街を乗っ取ってしまったようである。イスラム国は、黒い旗を目印にラッカに乗り込んでくる。やっていることは自分達の意に従わないものを捕らえ、言う事を聞かなければ殺害し、首を切り落としてさらし者にする。あるいは抵抗勢力やその肉親を射殺する場面を録画してYouTubesで公開する。そのイスラム国に反対して闘う人たちは、自主的な抵抗する組織(RBSS)を作ってスマホとSNSを使って、イスラム国の蛮行を告発する。最初はシリア国内でアジトを使って連絡、撮影、編集をしているが、危険が迫って来るので、隣国トルコへ脱出する。イスラム国は連絡用の衛星通信の連絡電波まで察知して、RBSSという抗勢力の場所を特定して、抹殺しようとする。
▼トルコに逃れたものの、一人の記者(と言っても給料も出ない普通の人)が殺害され、さらにドイツまで逃亡しアジトを作る。一番衝撃的なのは、記者の一人の父親を殺害する場面が動画で送られて来たことだ。父親は諦めを捨てきれず、むすこにも抵抗は止めろというメッセージは残さず殺される。
▼逃れたドイツでも、おりから移民に反対するネオナチのデモが行われ、彼等RBSSに対する風当たりは強くなりそうだ。ドイツ警察からもアジトに「危険が迫っているから」と連絡が入る。こうして見ると、アメリカやEU、そしてロシアのシリアに対する「空爆」の意味は何だったのだろうか?結果としてイスラム国は依然として消滅していないし、「元気」に組織を拡大し続けている。自ら抵抗しながらSNSで情報を発信しているRBSSのメンバーは何も報酬は受けることなく、ひたすら「正義」のために、母国シリアに残ってかろうして生活をしている友人や肉親たちから発信される情報を集約してSNSで世界に発信し続ける、願いはあるメンバーがいう「まともな死に方をしたい」である。なぜイスラム国がのさばり続けているか、といえばいまなお東西対立後の間隙の狭間にあって、幼い青少年を洗脳し、少年兵に育ててているからだ、と思う。それはハリウッド的手法を使って、SNSで頭を使わなくても、簡単に引き金を引く方法を疑いもなく普及させているからだ。渋谷アップリンクシアター、ポルポレ東中野で上映中。

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