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June 21, 2018

◇「モリのいる場所」を見る。

▼昨日から台風の余波があるという天気予報である。寒さは分からないが真冬ではないから厚着は必要なかろう。下着の上にゴアテックスの上下を羽織る。雨用の革靴もあるが長距離あるくには疲れるので、スニーカーにする。因みにきょうの歩数は12696歩だった。年に一度の大仕事で得意先をひたすら歩いて回った。不味いことにきょうは猫ちゃんの定期診察日だった。これはもう一月前から決まってしまう。先週火曜日に猫ちゃんが吐瀉したので、翌日緊急検査をしてもらったばかりだ。きょうは見た目に体調がよさそうなので、検査はパスして体重測定と目視だけだった。担当医に無理言って、「仕事があるので薬とリンゲル液は夕方取りに来るので、支払いもその時にさせて」と断って猫を自宅の部屋に入れて飛び出す。バスと乗り継ぎはとても上手く行く。11時半には最初の目的地に到着して無事に打ち合わせを終える。
▼全て終わってから動物病院に行き、診察料を支払い、薬を受け取る。一ヶ月約2万3千円。ちなみにわたしは診察と薬代で1400円余である。猫の診察料金と薬代は私の一ヶ月の小遣いよりも高い。その後うち合わせの確認内容をPDFファイルに保存して再び得意先に数字とともにメールで送る。お互い最初の段階で誤解のないようにして置かねばならない。先日日本映画専門チャンネルで想田和弘監督の「選挙」3部作が放映され、2時間余の番組、レンタルビデオで探してご覧下さい。1部だけ見た。川崎の某選挙区から補選に立候補した東大卒の候補者の選挙にカメラは密着する。自民党のどぶ板作戦の実態がわかる。最後に当時の小泉純一郎が「改革」、「ぶっ壊す」と言って登場するが、今、彼の言う全原発廃炉なんて、ちゃんちゃらおかしい。
◇「モリのいる場所」スクリーンを覆い尽くす鬱蒼とした森の一部のような木々。そこをカメラがゆっくりと横切る。「じゃあ出かけてくる」と妻の悠木希林に一言いって玄関をでる。持ち物はタバコとスケッチブック、それに尻当ての皮だけだ。妻は慣れた様子で「行ってらっしゃい。今日はどちらまで?」と聞く。一歩あるくと次の瞬間は、葉と葉の間ですっかり周り風景と同化したひげ面に三角帽子の老人が映り込む。この人物こそが誰を知ろう、主人公モリ(熊谷守一)だ。彼は石神井川に近い家の敷地から30年間一歩もでた事がない。ここから始まる物語は、映画はこうであらねばならぬ、という一切の形式ない。淡々と浮き世からかけ離れた日常生活が描かれる。
▼モリは昭和の時代に実在した画家だ。映画は昭和49年、モリが93歳の頃の「たった一日」に焦点を当てた作品である。何も特別な出来事などは起こらないが、100坪くらいの「庭という名の小宇宙」で、腰をかがめたり、時には地べたに突っ伏しながらカメラマンと一緒に蟻の行列、蝶の羽ばたき、枝葉の成長を見守る彼の姿を見とれている。それを見ていると、自分の一生も一日も毎日が何ら変わりがないことに気づかされる。
▼あるときはカメラマンが助手を連れてヤマの素顔を撮影に来たいという。妻は午後は昼寝をするから出来れば午前中に、と連絡する。あるときは長野の蓼科にある旅館の亭主が店の「揮毫」をお願いしたいとやってくる。そうすれば話題になって千客万雷間違いなしだという思惑だ。また家の前に高層マンション建築計画が持ち上がり、友人達は「反対運動」をしてくれる。しかし本人は憮然としていると、強面の建設会社の責任者が直談判に乗り込んで来る。ノラリクラリと会話しているうちに、お互い打ち解けて大宴会がはじまってしまる。.後半文化勲章授与の打診があるが「興味ない」と断ってしまう。名誉やカネには無頓着で、生きたいように人生を過ごしたヤマの魅力が画面一杯に広がる。銀座シネスイッチ。
▼昼までにもう3本原稿が書けるとよいのだが…できなければ、明日朝までに夜なべ仕事になる。

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