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July 15, 2018

◇「フジコ・ヘミングの時間」を見る。

▼猛暑である。昨日は銀座シネスイッチに出かけた「フジコヘミングウェイ」を見るためだ。いつものように東銀座から歩いた。15分くらいだが、それだけで汗だくになった。チケット発売まで15分くらい、待たされた。ここのネット予約は面倒なのでやらず、窓口まで行く。「ゴダール」も初日だったが、映画評の読者の顔を思い出して,マニアックなので見るのをやめた。
◇「フジコ・ヘミングの時間」わたしも彼女のCDを一枚持っているが、曲名は何だったか?フジコは年齢不詳である。映画でへ「未発表」とでている。映画の状況を逆算すると、おそらく85歳前後であろう。映画は彼女が幼い時書いたであろう絵日記を回想する形で始まる。YouTubeを見てもフジコが仙台で弾いた「ラ・カンパネラ」が出てくる。画像が可成り不鮮明で乱れている所を見るとハンディビデオで盗撮されたものであろう。彼女は日本の音大を出て10年ぐらいして念願だったベルリン音楽大学へ入学を果たす。
▼幼い時母親は彼女にピアノのレッスンをすることを半ば強制していた。遊んだり、隠れて他の事をしているとすぐ大目玉を食らった。彼女の母は日本人だったが、父親やスウェーデン人のデザイナーだった。東京にいるとガイジンと白い目で見られて配給も自由にもらえなかったので、弟と一緒に関西方面に疎開する。その時は混血であることを偽ってひっそりと暮らしていた。父はあるとき「必ず成功して家族を呼び寄せるから」とアメリカに渡ったがそれ岸連絡は絶えて、母親の細腕で二人の子どもを育てた。終戦後は進駐軍の米兵にピアノを教える仕事で受講者あが引きも切らず,可成りの収入を上げた。
▼ドイツの音大に入学して卒業したが、仕事がすぐ来るわけでもなかった。一度だけ恋をするが、相手は母国に帰国してそれっきりになった。やがて音楽レッスン講師から、コンサートの仕事が来るようになる。そしてカラヤンや亜バーンスタインから大きな評価を得る。これで華々しくデビューできるかと思った矢先、右耳が聞こえなくなる。そして失意の内に日本に戻って治療をする。あるとき民放の深夜番組で彼女の演奏が放送されたとき、「あれは一体誰だ?」という問い合わせが殺到して、公演が引きも切らない状態になる。もしもこの深夜の放送がなければ、無名のまま終わっていたかも知れない。それからヨーロッパの有名な指揮者に認められてピアニストとして実力を発揮できるようになる。あるときヨーロッパで「養子を取りたい」と言ったところ、結婚していないとダメと言うルールがあることを知った。それ以降フランスのマンションには仔猫3匹と犬を飼うようになった。演奏で家を空けることが多いので、不在の時はフランスにいる日本人マネージャーとフランス人アスしタントに面倒を見て貰っている。
▼ラカンパネラを弾くのが好きだが、演奏には自分の生きたが凝縮されている。他人の演奏を聴くとその人がどんな人生を送ってきたか分かる。後何年生きられるか分からない。だが悔いのない人生を生きたい。だから来てくれと言われれば地球の裏側でも行く、とチリとアルゼンチンの演奏会の様子が出てくる。来年の目標はアフリカで演奏をすることだ、と決意を語る。まあ、短い文章では書ききれないが、映画のなかに自分が生きているかのような錯覚を受ける。エンディングロールが終わると立ち上がって帰ってしまう人がいるが、残念だ。本作では、フジコが日本郵船博物館に行って、父親がデザインした戦前のポスターに対面する場面が出てくる。そして「中々良い腕をしていたんだ」と納得する。

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